らかぁ4挺

4行日記

40冊目

声の網 (角川文庫)

声の網 (角川文庫)

小学生か中学生の頃、星新一を読んでいたときは、SF作家というよりは、ショートショートを書く作家なんだなぁと思っていたんですけど、SFと呼ばれる作品に少し触れた今、星新一を読むと、あーなるほどSF何だなと感心させられます。
本作は、作品が発表された時代よりの近(?)未来、電話が物語の中心に据えられた連作短編集。個々のギミックについては未来予想の的確さにうならされるところもありますが、小生としては、全体を俯瞰したとき、スキームの的確さがすばらしいと感じました。もちろん作者の考察と予測がすばらしいということもあるのでしょうが、世界の根幹のパラダイムシフトは起こっているように見えてそんなに起こっていないのではないか、起こっていると見せかけて実は何も変わっていないんじゃないかなんて思ったりもしました。原点回帰というのは、定期的に観察したところ前回と同じで、動いていないはずはないから戻っているように感じているだけで、実は全く動いていないなんてこともあるんじゃないかなんて考えてしまったけど、それが何の比喩なのかは、小生には全くわかりません。