らかぁ4挺

4行日記

20冊目

オーデュボンの祈り (新潮文庫)

オーデュボンの祈り (新潮文庫)

初伊坂。初めの方は、リズムがつかめなくて、どうしたらいいものかと思っていました。実際、話がぶつ切れというか、繋がりがないというか、場面場面だけの表層的な事柄を楽しむものなのかなぁと思っていたんです。それはそれで面白かったので。ただ、それなら孤島という閉鎖的な空間とか、特徴的な人物、かかしなど、魅力的な設定が十分生かされていないなぁと感じた次第。ところが、もはや文壇の寵児といっても過言でない伊坂幸太郎だけあって、やっぱり中盤以降は見せてくれた。序盤のバラバラのパーツを一気に収束させていく。その過程は、例えるならば、ぷよぷよの連鎖の作成段階だろうか。プレイヤだけがわかる、数手先を見越したぷよさばき。それが連鎖を発動した時、初めて明かされるサプライズ。そう考えると、進藤ヒカルの打ちっぷりといってもいいかも。大局観を見据えた一手が、ヒカルの『神の一手』なのだろうから。
とにかく満足&次の作品が楽しみだ。文庫もちらほら出てきていることだし。